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原題 Fast Food: The Good, the Bad and the Hungry
著者 Andrew F. Smith
分野 ビジネス/食
出版社 Reaktion Books
出版日 2016/2/1
ISBN 978-1780235745
本文 世界中どこへ行っても、同じハンバーガーチェーンの同じメニューを食べることができる。ファストフードは我々の暮らしのなかにしっかりと根付き、世界中の人に影響を与える巨大産業となった。国や民族、宗教、世代、性別、階級を超えて、すべての人に安価で比較的おいしい食事を手早く提供するという意味で、ファストフードは革命的だ。著者自身もハンバーガーが大好きで、ハンバーガーの歴史に関する著作すらある。しかし、ファストフードとその産業は、世の中に悪影響も与えてきた。

グローバリゼーションのなかで、ファストフードというアメリカのライフスタイルが全世界へと輸出されたことで、地域の独自性や慣習は危機に陥っている。さらに、栄養の偏りを生み、健康障害すら引き起こしているが、その影響が特に顕著なのは、この産業がターゲットとする子どもや低所得者層だ。また、ファストフード産業内の労働環境が悪条件なだけではなく、自然環境にも負荷をかけている。

ファストフード産業はこうした問題を改善するためにどのような方法を取りうるのか。私たちはファストフードをどのように活用すればいいのか。革命的食文化が生み出してしまった問題の改善策を探る。