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原題 Il fiore del male(Flower of Evil: Being a Gangster in Milan)
著者 Renato Vallanzasca, Carlo Bonini
ページ数 278ページ
分野 ノンフィクション・犯罪・マフィア・社会病理
出版社 Tropea
出版日 2009/10/1
ISBN 978-8855800792
本文 レナト・ヴァランザスカは、1970年代に銀行強盗などでイタリア中に悪名をとどろかせたあげく、懲役260年の刑で服役中。59歳でジャーナリストのカルロ・ボニーニと面会した際に、記憶を頼りに自らの半生や心境を明かした。本書では、その際のヴァランザスカの発言を通じて、等身大の彼の実像を描き出している。

従来の書籍・記事では、顔立ちやファッションセンスの良いヴァランザスカを、「伝説のヒーロー」に仕立てる傾向が見られた。しかし、本書に描かれた彼の姿は、その伝説とは趣を異にする。彼は、「生まれながらの泥棒」を自認する一方で、自分自身や自分なりの礼儀に忠実であることを望んでいる。そのため、犯罪に手を染めても裏切り行為とは無縁であった。そして今では、自分の「負け」を認めている。

ミケーレ・プラチド監督、キム・ロッシ・スチュアート主演のイタリア映画『ヴァランザスカ 悪の天使たち』は、本書の内容を基に制作。2010年のヴェネチア映画祭で上映された。