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原題 The Science of Frankenstein: How an Explosive Age of Real Scientific Discovery Inspired the Great Novel
著者 Joel Levy
分野 科学/文学
出版社 Carlton Books
出版日 2017/10
本文 SF小説の原点と言われる『フランケンシュタイン』。科学者を志す青年ヴィクター・フランケンシュタインと、彼が人間の死体のパーツを組み合わせて作り上げた怪物の物語は、2018年に出版200周年を迎える。

本書ではその『フランケンシュタイン』を軸に、物語が書かれた18世紀後半から19世紀初頭にかけての時代背景や科学技術の変化について考察し、イラストや図をふんだんに用いて、フランケンシュタインを生み出す際に参考にされたであろう実験や、物語にするに至った背景などについて詳説する。同作が書かれるに当たって非常に重要な役割を果たした事実の1つとして、18世紀における「電気」に対する認識の変化が挙げられる。『フランケンシュタイン』の著者メアリー・シェリーが、人体と電流の関係性を証明したガルヴァニの実験に注目していたことから、小説『フランケンシュタイン』と当時の科学技術の発展が密接に関係していることがわかる。

SF小説である『フランケンシュタイン』で使われたと想定できる技術を、実際の18世紀の科学研究と照らし合わせて過去の科学技術を振り返ることで、科学の進歩と今後を語る。科学的な説明とわかりやすい図説、そして小説の作者のエピソードを交えて書かれた本書は、映画や舞台を通して『フランケンシュタイン』に興味を持った人や、人体と電気の関係性や人体蘇生などの科学技術に興味がある人など、幅広い層の探求心を満たすことができるだろう。