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原題 Rosé All Day: The Essential Guide to Your New Favorite Wine
著者 Katherine Cole
分野 酒/歴史
出版社 Abrams
出版日 2017/4/11
ISBN 978-1419724107
本文 比較的安価で飲みやすく、その美しく透き通ったピンク色で近年人気が高まっているロゼワイン。ニューヨークやロサンゼルスではロゼワインをテーマにした高級クルーズが大人気で、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが生産したロゼワインは6000本が5時間で売り切れてしまったほど。しかし、この人気はここ10年ほどのもので、それ以前のロゼは、マクドナルドのワイン版と称されるほど安っぽいものとみなされていた。

だが実はロゼの歴史は奥深い。世界初のワインと言われている8000年前の熟したぶどうからできた偶然の産物は、実はロゼではなかったかという研究報告もある。そもそもワインは古代から愛され続け、聖書にも何度も登場するが、当時のワインは純粋な赤ワインではなかったという。当時の製法ではまだワインを十分に着色する技術がなかったため、作られていたのはロゼに近いワインで、しかもザクロ果汁やスパイスや水で味を調えられていた可能性が高いのだ。

現在のロゼワインの原形が作られたのは中世のフランスで、当時は人気があったが、フランス革命家たちやナポレオンなど、赤ワインを好む重要人物たちに影響されながら、歴史の流れの中でその興隆を繰り返してきた。そして現在、その人気はこれまでになく高まっている。

15年間ワイン研究家として多くの本を手掛けてきた著者が、ロゼワインについての英語の書物がないことを嘆き、自ら研究し筆を執った本書。ロゼワインの歴史からその特徴、そして産地ごとのロゼワインの違いなどが可愛らしいイラストともに紹介されていて、この一冊でロゼワインのすべてがわかる。