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原題 Ghosts: A Haunted History
著者 Lisa Morton
分野 文化人類学
出版社 Reaktion Books
出版日 2015/9/16
ISBN 978-1780235172
本文 超自然の歴史において、幽霊ほど広く信じられているものはない。ギルガメッシュ叙事詩のような最古の文学から、テレビで放送される現代のゴーストハンティング番組まで、ほぼすべての時代にわたり、さまざまな文化において、幽霊は人々に恐怖を与えてきた。本書では、そうした幽霊についての興味深いエピソードの数々を幅広く取り上げる。

著者ははじめに、「幽霊とは何か?」を問い、ポルターガイストや生霊、レブナント(肉体ごと蘇った死者)などと、幽霊との比較をおこなう。そして、古代エジプト人の5つの魂や、世界で最初の幽霊屋敷など、古典世界の幽霊について述べていく。さらに、聖職者を生きたまま焼き殺したり、頭を残して子供を食い殺したりする古代や中世の恐ろしい幽霊を取り上げ、19世紀に全盛を極めた心霊主義を紹介するだけでなく、世界各地の幽霊について調査に乗り出し、インドの悪霊ブータ、中国のハングリーゴーストフェスティバル、メキシコの死者の日についても解説。幽霊が信仰や文化に大きな影響を与えている様子を伝える。

最後には、ゴシック小説の元祖『オトラント城奇譚』から2007年の大ヒット映画『パラノーマル・アクティビティ』まで、そして、ゴシック小説の大家アン・ラドクリフから、スティーブン・キングの『シャイニング』まで、さまざまな書物や映画に描かれるゴーストたちを紹介する。

世にも不思議な恐ろしい写真やイラストも60点掲載されている。