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原題 Grocery: The Buying and Selling Food in America
著者 Michael Ruhlman
分野 社会問題/食
出版社 Abrams
出版日 2017/5/16
ISBN 978-1419723865
本文 アメリカでは、3万8000店ものスーパーが、毎年6500億ドルも売り上げている。そのとてつもない経済規模にも関わらず、多くの人は食料品店がどのように機能しているのかを知らない。

その昔は自分で食料を確保し、作り、保存していたのが、今ではスーパーがそのすべてをやってくれる。1950年代ごろにA&PやWalmartといった大型スーパーが全国展開しはじめ、1990年代になるとCostcoやSam's Clubといった卸売が広まった。2000年代には健康志向のWhole FoodsやTrader Joe'sが若者を中心に人気となり、現在ではamazonが生鮮食品も配送してくれる。

これだけ食糧にアクセスする機会が多いにもかかわらず、アメリカでは今「食の砂漠」問題が深刻化している。近隣にコンビニエンスフードやファストフードへのアクセスしかない国民が、なんと230万人もいるのだ。また、糖尿病などをわずらっている国民の数も莫大で、裕福なアメリカで食による病気が増加するという矛盾が起きている。

スーパーで購入する食べ物が大好きだった父を病気で亡くした著者が、スーパー事情の変遷や食糧流通の仕組みを研究し尽くし、現代アメリカで食が引き起こす問題を提起する。