ブックレビュー ブックレビュー

原題 Rainbows: Nature and Culture
著者 Daniel MacCannell
分野 自然/歴史
出版社 Reaktion Books
出版日 2018/4/16
ISBN 978-1780239200
本文 虹のメカニズムを解明する人類の試みは、そのまま自然に対する科学的探究の歴史と重なるという。古くはアリストテレスに始まり、デカルトやニュートンなど、多くの科学者たちが虹の解明に魅了されてきた。

また、地球上いたるところで観察できる虹は、世界中の神話や宗教に登場し、時に神の啓示、時に自然に対する深い畏れや祖先に対する敬意の象徴となってきた。さらに、古くは16世紀のドイツ農民戦争、現代ではLGBT運動、環境運動、平和運動の象徴であるレインボーフラッグをはじめとし、さまざまな市民活動や政治的プロパガンダにも虹が用いられている。

虹の「色」が場所や時代によって異なるという点も興味深い。2色のこともあれば、5色のこともあり、黒が登場することもある。

本書は、誰しも子どものころから親しみのある虹について、光学的、幾何学的に説明するとともに、人類とどう関わってきたかを科学、芸術、文化、神話、宗教、ポップカルチャーというさまざまな視点から解説する。

私たちの身近に存在する自然現象などを、文化史的観点からとらえるというユニークなコンセプトの叢書のなかの一冊。