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原題 The Misinformation Age: How False Beliefs Spread
著者 Cailin O’Connor, James Owen Weatherall
分野 社会/メディア
出版社 Yale University Press
出版日 2018/1/8
ISBN 978-0300234015
本文 世の中には真実ではない情報がたくさんある。伝説の動植物の存在やデマ、最近よく耳にするフェイクニュースだけではない。人類の歴史を振り返ってみれば、一流の学者がまことしやかに語ったり、政敵を貶めるために故意に悪評を流したりすることで、社会全体が信じ込んでしまった偽情報も多々ある。

では、なぜ真実ではない情報を皆が信じてしまうのだろうか。

偽の情報が広まる理由のひとつは、偏見や思い込み、経験不足、無知や無教養によって、事実が見抜けないからである。さらに、学者や科学者のような、事実を分析する専門家ですら時に惑わされることがあるのは、偽の情報の流布が社会現象だからだ。

人間は社会的な動物なので、他者との関わりなしには生きられない。そのことが、個人の知的レベルや心理的な問題とは別の次元で、偽の情報が広まる原因になる。

カリフォルニア州立大学の論理学と哲学の助教授2人によって書かれた本書では、偽の情報が広がる現象を、個々人の心理学的要因ではなく、社会的要因から探る。そして、多くの人が真実ではない情報を信じてしまうメカニズムを解き明かし、そのような情報に惑わされない方法を提示する。