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原題 Humans: A Brief History of How We F*cked It All Up
著者 Tom Phillips
分野 人文/歴史
出版社 Wildfire
出版日 2018/7/26
ISBN 978-1472259028
本文 我々が歴史を学ぶのは、過去の優れた芸術や科学などに触れて、人間の偉大さを実感するためだけではない。地球汚染や戦争といったマイナスの側面を知り、同じ過ちを繰り返さないためでもある。

本書でまず取り上げるのは、歴史上の好ましくない10人の人物だ。たとえば、フランス王シャルル6世。王位を継いだが公務は果たさず、素肌に亜麻と松脂を塗ったいで立ちで舞踏会に現れ、危うく焼死しそうになった。また、自分の身体はガラスでできていると信じて疑わず、奇行にはしった。始皇帝は、中国全土の統一や万里の長城築城などの歴史的な偉業で知られる他、文字の統一、貨幣の流通といった近代化に通じる数多くの政策も成しとげた。だが、その裏で、歯向かう者は容赦なく弾圧し、晩年は自らの不老不死への執着しか頭になかった。ヒトラーのジェノサイドを知らない人はいないが、ヒトラー自身の性質については意外と知られていない。午後から起きだす無責任な怠け者。補佐がいないと事務仕事ができず、決断力もない。新聞の自分の記事に一喜一憂し、苛立つと人前で爪を噛む幼児性も見られた。

このように、偉業や悪行で歴史に名を残してきた者たちも、完璧な天才というわけではない。それがわかれば、同じ過ちを繰り返さないよう手段を講じていくことが可能ではないのかと著者は言う。

その他にも、人類が繰り返してきた過ちを取り上げ、近年の出来事と関連付けなら考察していく。

『Buzzfeed UK』に数多くの記事を執筆する著者ならではの、軽快でユーモアに富む文章が特徴的。著者によれば、過ちを伝承し、学び、よりよい未来を切り開くことができる生物は人間だけだ。歴史を学ぶ意義を大いに感じさせる一冊である。