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原題 The Left Brain Speaks, the Right Brain Laughs: A Look at the Neuroscience of Innovation & Creativity in Art, Science & Life
著者 Ransom Stephens
分野 脳科学
出版社 Viva Editions
出版日 2016/9/13
ISBN 978-1632280466
本文 世間ではよく、右脳が創造的で左脳が分析的といわれるが、右脳と左脳の働きはそれほど単純化されるものではない。タイトルにあるように、「左脳が話をし、右脳が笑う」というのは過度に単純化された考え方だ。実際は、「左脳がジョークを口にし、右脳がそれを受け取り、左脳が実際に笑う」のかもしれないのだから。

本書は、巷にあふれている左脳と右脳の機能に関する説に疑問を呈し、脳の機能について詳しく説明しながら、読者を新しい考え方へと導いていく。例えば、右脳が問題を特定し、左脳が解決を図る、または、右脳は「すぐに笑う」という働きを担い、左脳は「徐々に笑う」という働きを担う、といった具合だ。「木を見て森を見ず」という言葉があるが、著者によれば、左脳は「森が見えず」、右脳は「木が見えない」。

わかりやすい例を挙げたり、図を使用したりしていて右脳と左脳の機能を説明していく本書は、脳科学の入門書であるのはもちろん、学者であると同時に作家でもある著者によるジョークが随所に散りばめられ、思わず笑いを誘う読み物としても楽しめる。