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原題 Humanity Works: Merging Technologies and People for the Workforce of the Future
著者 Alexandra Levit
分野 ビジネス/経営、組織
出版社 Kogan Page
出版日 2018/10/28
ISBN 978-0749483456
本文 技術の進歩に伴い、仕事も働く環境も大きく変化している。そう遠くない未来に、多くの職場にロボットやAI技術が導入されるだろう。そうなった時、人間の仕事は機械に奪われてしまうのだろうか。技術革新がもたらす予想もしなかった未来に、多くの人が不安を感じている。しかし、未来は私たちが創るものだ、ということを忘れてはいけない。未来の仕事や職場は、今の私たちの日々の選択や行動によって決まる。そして、仕事の根本にあるのは人間性である。

本書は、さまざまなエピソードや調査によって、仕事や職場がどのように変化しているのか分析する。人口動態や経済の動向から労働環境や求められる能力の変化を分析し、さらに、職場における自動化と最新技術について考察する。そして、今後15年に予測される変化と、機械や技術を取り入れた職場で人間に求められる能力や技量について議論する。その上で、ITやAR/VRなどの技術を活用したさまざまな働き方、インターネットを介して単発の仕事を請け負うギグ・エコノミーの拡がり、キャリア形成の考え方など未来の仕事のあり方を予想する。また、新しい時代の組織や、長期的に成功するリーダーシップも提示する。

各章にはケース・スタディーとアクション・プランがあり、本書で提示されるアイデアやコンセプトを、具体的なイメージを持って実際のビジネスの現場に導入できるように構成されている。

技術が進歩し、働く環境や価値の体系が大きく変化している。変化は避けられないが、科学者やエンジニアが未来を創るわけではない。私たちが創るのである。本書は、21世紀にふさわしい働き方を模索し、技術と人が創る新しい組織を構築していくための指針である。