ブックレビュー ブックレビュー

原題 The Art of Love: The romantic couplings behind some of the world’s greatest artworks
著者 Kate Bryan
分野 美術/ロマンス
出版社 White Lion
出版日 2019/6/27
ISBN 978-0711240315
本文 過去140年にわたる20世紀を代表する著名なアーティストを35組のカップルとして紹介する。半世紀近く寄り添ってきた夫婦もいれば、嵐のように過ぎゆく不倫カップルも存在する。35組のストーリーはひとつひとつ異なり、情熱的で甘く、愛に溢れたものから、イバラの道を進むような悲劇的な別れを経験したものまである。

有名なアート作品の裏側にあるラブストーリーは非常に興味深いものだ。作品ができた背景、作品に込められた密かな想い、アーティストたちが伝えたかった心の叫びとは? 本書を読むと美術館でひとつの作品を鑑賞するとき、きっとそれまでは感じとれなかったであろう、新しい何かに気持ちを動かされるはずだ。

夫婦や恋人であったからこそ創造できた作品や技法はまさに輝かしい成功といえる。しかし反対に、炎のように燃えあがる大恋愛をし、のちに心が切り裂かれるような別れが訪れたときにも、アーティストたちはその感情をさまざまな方法で表現してきた。それらが21世紀を生きるわたしたちをいまだに魅了しつづけている。

恋愛とは年齢や職業を問わず、いつの時代もわたしたちの人生を彩り豊かなものにしてくれる大きな要素であるが、それがアーティスト同士の恋愛となれば、想像以上に互いに与える影響は大きいのかもしれない。35組の人生と作品をとおして、愛の力を再確認できるだろう。