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原題 Ballad of the Whiskey Robber: A True Story of Bank Heists, Ice Hockey, Transylvanian Pelt Smuggling, Moonlighting Detectives, and Broken Hearts
著者 Julian Rubinstein
分野 ノンフィクション/犯罪
出版社 Little, Brown and Company
出版日 2004/9
ISBN 978-0316071673
本文 Attila Ambrusは1988年、ルーマニアのトランシルバニアからハンガリーに密入国し、ハンガリー1有名な「Whiskey Robber」と呼ばれる強盗になった。本書は、彼の半生をコミカルに描き上げると同時に、共産圏が崩壊した後の1990年代の東ヨーロッパの混乱した状況をも映し出す。

Attilaは、実にさまざまな面白い職業についた。教会のペインター、墓掘り人、皮の密売人にプロアイスホッケーチームUTEのゴーリーまで。もっとも、最悪のゴーリーだったようで、プロアイスホッケー選手になっても金には困っていたのだろう。

東ヨーロッパの共産圏が崩壊した時代、強盗になるのが一番いいと考えたAttliaは、1993年、ついに郵便局に押し入る。そこから、彼の華麗なる泥棒人生が始まった。そして、必ず近所のパブでウイスキーを飲んでから強盗に入ることから、いつしか「Whiskey Robber(ウイスキー泥棒)」と呼ばれるようになる。

Attiliaのライバルとなる警官がLajos Varjuだ。Varjuはアルバイトでバレーを教え、「ハンガリーのコロンボ」と呼ばれているちょっとユーモラスな人物だ。そのほかにも、共犯者たちや、エキゾチックなダンサー、大酒飲みの陸軍大佐、敏腕弁護士などがAttilaとからんでいく。

新しい東ヨーロッパを背景に、ハンガリーの人々から親しみをこめて「Whiskey Robber」と呼ばれたAttilaが現代のロビンフッドになっていった様子が、生き生きとユーモラスに描かれている。Attilaは、一度の逃亡した後、現在17年の刑で刑務所に服役中だ。

本書はJulian Rubinstein初めての著作だが、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、チェコ、ハンガリーでも出版され、数々の賞を受賞し、ハンガリーではナンバー1ベストセラーにもなった。

ジョニー・デップとワーナー・ブラザースが映画権を取得済。