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原題 평양프로젝트:얼렁뚱땅 오공식의 만화 북한기행
著者 오영진(オ・ヨンジン/呉栄鎮)
分野 マンガ
出版社 창비(創批)
出版日 2006/12/13
ISBN 978-8936471217
本文 本書は、南北の交流拡大、協力推進という使命を持って平壌に派遣された若い作家(架空)が経験する北朝鮮の普通の生活、言葉や習慣の違いなどで現地の人々との間に生じる小さな誤解をユーモラスに描いたマンガだ。

主な登場人物は、平壌の「北南交流協力団」に派遣されて取材活動を始める韓国の作家オ・ゴンシク、「北南交流協力団」の生活・文化分科の総責任者チョ・ドンマン、チョ・ドンマンの部下であり党に忠実なキム・チョルス、中学校の教員として北南交流協力事業のために協力団に派遣されてきた北朝鮮の女性リ・スンオクの4人。

オ・ゴンシクは、平壌の公園で若いカップルがソウルの話し言葉をしゃべっていたことや、市場にドラマ『冬のソナタ』や映画『シュリ』の違法テープが売られていること、大通りに化粧品の大きな看板があることなど、北朝鮮の変化に驚き、チュソク(秋夕、旧暦のお盆)の様子が韓国と変わらないこと、北朝鮮の学校生活や離婚事情など、韓国では知ることのできない北朝鮮の庶民の生活を目の当たりにして楽しむ。

登場人物等は架空のものだが、著者が北朝鮮で1年半過ごしたときの経験をもとに描かれており、報道では知ることのできない北朝鮮の庶民の生活が大変興味深い。また、巻末には、詩人도종환(ト・ジョンファン/都錘煥)による解説も収録されている。過去に韓国人が北朝鮮をどのように見ていたのか、今何を知りたいのか、本書を読んで何を望むのかという、「統一」「反統一」から離れた彼の率直な感想も読み応えがある。