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原題 Love, Life, and Elephants: An African Love Story
著者 Daphne Sheldrick
分野 科学/野生動物
出版社 Farrar, Straus and Giroux
出版日 2012/5/8
ISBN 978-0374104573
本文 ケニアに生まれ育ち、生涯を野生動物の保護と飼育に捧げた女性の自伝。ケニアの大自然とそこに暮らす野生動物の素晴らしい姿が描かれており、心温まる作品となっている。

著者のDaphne Sheldrickが初めて野生動物と深い関係を築いたのは、わずか3歳のときだった。両親から、親を失ったダイカーの子どもを与えられ、世話をまかされたのだ。その経験がDaphneに、野生動物をその本来の姿のままに愛することを教えてくれた。ツァボの国立公園で仕事をするようになったとき、Daphneには夫も娘もいたが、初代園長を務めるDavid Sheldrickと恋に落ちる。すぐれた人間性とケニアの自然や野生動物への深い洞察を備えたDavidとの再婚後、Daphneは、世界で初めて人工乳でゾウの赤ん坊を育てることに成功した。数々の野生動物の孤児たちの命を守り育てながら、動物たちと深く心を通わせてきたDaphneの姿は感動的で、深く心を打たれる。

本書で披露される数々のエピソードのなかには、滑稽で笑いを誘う話もあれば、胸の痛む悲しい話もある。著者の生涯を通じて、現地に暮らす者の視点からアフリカの歴史の一部に触れることもできる。読者の知識欲と情感を刺激するすぐれた読み物だ。