ブックレビュー ブックレビュー

原題 Tribal Science: Brains, Beliefs, and Bad Ideas
著者 Mike McRae
分野 行動科学/生命科学
出版社 Prometheus
出版日 2012/5/8
ISBN 978-1616145835
本文 人はなぜエセ科学を信じてしまうのか? 人間と科学の一筋縄ではいかないフシギな関係を論じる、一風変わったポピュラー・サイエンス本。人間と、人間の知性の体系である科学との関係を新しい切り口で解説する。

科学が大いに発展している現代で、なぜ疑似科学が注目を集めるのか? 考古学や生物学で地球誕生が解明されているにも関わらず、なぜ創造論が今でも信じられているのか?

著者は、合理的な学問である科学を生み出した人間自身は非合理的な生き物で、コミュニティとして生存競争を勝ち抜くべく進化してきた、人間とはそもそもtribe(部族、集団、群れ)で進化を遂げたソーシャル・アニマルであり、tribeとして生き残るために発達したtribal brain(部族脳)を持っていると主張する。

曰く:
・脳はウソをつく。
・科学者はマジシャンあるいは魔法使いである。
・人間は事実より権威に弱い。
・人間は論理よりも感情を優先する。

ガリレオ裁判からHIVウィルス、インターネットなど、科学史上のさまざまな事例を取り上げ、わたしたちが科学にどのように向き合ってきたのかを解き明かす。