ブックレビュー ブックレビュー

原題 Cry Havoc: a History of War Dogs
著者 Nigel Allsopp
分野 犬/歴史/戦争
出版社 New Holland Publishers
出版日 2011/5/1
ISBN 978-1742570969
本文 犬は昔から人間のよき理解者であるとともに、巡回、警備、検知、救助など、各方面で人間の助けとなってきた。現在では犬の驚異的な能力は、各国の平和と安全を守るため、軍事にも警察にも欠かせないものとなっている。犬の能力に魅せられた著者は、まず、本書の前半で軍用犬の歴史をたどり、特徴をまとめた。さらに後半では、過去と現在の軍用犬の活躍事例を50の国にわたる地域ごとにまとめ、軍用犬の可能性を考察している。

例えば、イギリスでは世界大戦中、種類、体の大きさにかかわらず、国民が軍隊に犬を寄付した。犬たちは警備をしたり、敵の見張りをしたり、伝令として塹壕を行き来したりした。フランスでは、戦場で食糧や医薬品を運ぶ救急犬が3000頭もいた。

また、米英だけでなく、アジアや中東などさまざまな地域の軍用犬がとりあげられている。世界各国の機関から情報収集をし、国家間の安全保障にかかわるデリケートな内容を取り扱えるのも、ニュージーランド国防軍出身という著者の特異な経歴と経験によるものだろう。