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原題 College Unbound: The Future of Higher Education and What It Means for Students
著者 Jeffrey J. Selingo
分野 教育
出版社 New Harvest
出版日 2013/5/7
ISBN 978-054402707
本文 大学を卒業する価値とは何だろう? 米国では事実上、4年制大学卒業の学歴が、成熟した社会人であることを示す指標と見なされている。しかし、不況の影響で学生ローンの残高は総額1兆ドルに達し、大学を出ても就職できるとは限らない。それでも、多大な出費をしてまで大学に通う意味があるのだろうか?

際限のないランキング競争、学費の高騰、お客様気分で勉強しない学生、卒業率の低下――米国の大学が抱える問題は深刻だ。著者ジェフリー・セリンゴは、現在の大学制度が抱える問題点を鋭く指摘しつつ、未来の大学の在り方を考察し、その具体な取り組み例を提示する。将来的には、学生一人一人に合わせた学びを実現するテクノロジー(オンライン授業、適応学習システムなど)や、フレキシブルな単位認定システムの導入によって、特定のキャンパスやスケジュールに縛られない教育が実現するだろう。

本書から、アメリカの大学も日本と同じような問題を多々抱えていることがわかる。この20年で4年制大学への進学率が2倍近くに増えている日本でも、将来の大学像を考えるヒントとなるだろう。