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原題 The Invention of Jesus: How the Church Rewrote the New Testament
著者 Peter Cresswell
分野 歴史/宗教
出版社 Watkins Publishing
出版日 2013/7/11
ISBN 978-1780285467
本文 本書は新約聖書の文献学史においてもっとも注目され、また望まれていた一冊である。

著者はパウロをはじめとする教会関係者の書簡と同様に、キリストの生と死を述べたゴスペルの初期の原稿を読み解く手だてを進化させ、新たな事実を発見した。紀元2世紀より古いパピルスの断片や、羊皮紙に書かれた完全形に近い原稿、その他ほとんどの遺物はギリシャ語で書かれ、ローマ帝国と初期教会に関するものであった。著者はそれらから、どのようにしてイエス・キリストとその復活の思想が定着していったのかをたどる。そして、その後どのような要素が加わり、キリスト教会がイエス・キリストの性格を確かなものにしていったのかを明らかにする。本書はさらに、シナイ写本の新約聖書にも新たな解読策を提供する。