ブックレビュー ブックレビュー

原題 Apocalyptic Planet: Field Guide to the Everending Earth
著者 Craig Childs
分野 地球科学/旅行記
出版社 Pantheon Books
出版日 2012/10/2
ISBN 978-0307379092
本文 著書クレイグ・チャイルズは冒険家で、サイエンスライターでもある。本書のアイデアは初めて経験した地震がきっかけで生まれた。1994年、チャイルズはたまたま立ち寄ったカリフォルニア州ノースリッジ地方でマグニチュード6.7の地震に遭遇。そのとき、地球が自らの意思で地面を揺らしている、もはや人間の手に負える次元ではないと感じ、「黙示録(世界の終わり)の崖っぷち」で何もできずにいる自分に気づいた。

そこから、彼の黙示録(世界の終わり)を巡る旅が始まった。「砂漠の消費」では、7年間干ばつが続くメキシコのソノラ砂漠を旅仲間とふたりで地図もGPSも持たず、コンパスのみで数週間探索する。「氷の崩壊」では、ドキュメンタリー映画の撮影のためにチリ、パタゴニア北部の氷河を訪れ、浸食された谷底に詰まった新しい氷河性堆積物を発見。これは、融けた氷が災害をもたらす氷河湖決壊洪水の兆候だ。アイオワ州のトウモロコシ生産地で行った生態調査では、広大な土地で遺伝子組み換えトウモロコシだけを栽培したために、300種の雑草、60種の哺乳類、300種の鳥類、1000種を超える昆虫が姿を消した「種の消滅」を目の当たりにする。

地球は誕生してから5度、大量絶滅を経験してきた。私たちは次の大量絶滅に向かっているのだろうか。温暖化、海面上昇、種の消滅などの地球の異変とはどのようなものなのか。人間や他の生物、環境にどんな影響が起きているのか。本書では、好奇心と冒険心あふれるチャイルズの目を通して地球異変の現状を垣間見ることができる。