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原題 The Intelligence Paradox: Why the Intelligent Choice Isn't Always the Smart One
著者 Satoshi Kanazawa
分野 科学
出版社 Wiley
出版日 2012/4/1
ISBN 978-0470586952
本文 現代の人類が日々の生活への「自然な」適応力として遺伝子に引き継いでいるのは、約10万年前に我々の祖先がアフリカのサバンナで狩猟生活をしていた当時のものだ。その後、約1万年前に農業が発明されたのを契機に、人類の文明は急速に発達する。一般的知能は、この発展により生じた「非自然」で「新しい」ものに対する適応力として発達した。つまり、知能の高い人ほど新しくて非自然なものに適応できる。

言い換えれば、知能の高い人ほど、生物学的な適応機能に反した方向へ向い、進化的な制約要因を断ち切り、脳の限界を取り払おうとする。その結果、非自然で、生物学的に愚かな嗜好や価値観を持ち、愚行に走る傾向にある。著者はこれを知能パラドックスと呼ぶ。

・夜型人間の方が朝型人間より知能が高い
・同性愛者は異性愛者より知能が高い
・知能が高い男性ほど男女関係を少数に絞り、知能の高い女性ほどまったく逆の行動をとる
・知能の高い人ほど人生で負け組になる

著者は知能パラドックスの例としてこれらの傾向を挙げ、科学的なデータを使って証明する。