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原題 Curationism: How Curating Took Over the Art World and Everything Else
著者 David Balzer
分野 美術/ビジネス
出版社 Coach House Books
出版日 2014/10/14
ISBN 978-1552452998
本文 美術界におけるキュレーター(学芸員)は最高権力者であり、注目度の高い展覧会の顔となる。個々の芸術家を社会に受け入れさせたり、反対にその価値を薄れさせたりもする。学芸員研究プログラムは成長を続け、ビジネス業界は、物に価値を与える手段としてキュレーターを取り入れるようになってきた。今では音楽祭からチーズまで、さまざまな分野で「キュレーター」という言葉が使われている。

しかし、実際のところ、キュレーターとはどんなことをするのだろう? 著者はまず、美術史をたどり、さらに、有名キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリストを追って世界を駆け巡る。

文化批判の金字塔となったトム・ウルフの『現代美術コテンパン』やジョン・バージャーの『イメージ―視覚とメディア』を彷彿とさせる内容で、キュレーショニズムがアートの見方、ひいては自分自身に対する考え方をも変えるかもしれないと予見させる。