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原題 The Blame Business: The Uses and Misuses of Accountability
著者 Stephen Fineman
分野 ビジネス
出版社 Reaktion Books
出版日 2015/2/1
ISBN 978-1780234380
本文 「非難」は社会に溢れており、最悪の場合、あらゆる関係性を悪化させ、危うくする。つまり、恋人や同僚、共同体、国家を分裂させる恐れがあるのだ。さらには、怨恨や復讐心を生むことさえある。「非難」は、熟練した布教者にとっては迫害のための有効な手段となり、メディアにとっては犠牲者と社会的不安を生み出すための媒体となる。とはいえ、適切に用いれば風紀や法的な過失から保護してくれることもある。相手を傷つけることも、必要とされることもある「非難」という行為は、非常に興味深いものなのだ。

本書は、古代の魔女狩りに始まり、現代の責任転嫁や汚名を着せる行為、義憤や非難の文化など、非難のルーツと出現に焦点を当てながら、どうすればこれによる腐食作用を和らげることができるかという難題に挑む。

「後悔と許しの限度はどこか?」「歴史的悪事についての国家の謝罪にはどんな役割があるのか?」「修復的司法は解決策なのか?」といった多角度から考察することにより、読者は、「非難」そのものだけでなく、「非難」が私たちの生活をどのように形成しているかについての理解をも深めることができる。