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原題 Blue Skies Over Beijing: Economic Growth and the Environment in China
著者 Mathew E. Kahn、Siqi Zheng
分野 環境/経済
出版社 Princeton University Press
出版日 2016/5/31
ISBN 978-0691169361
本文 この30年間で中国経済は驚くべき発展を遂げたが、同時に、都市部における生活環境は、発展にともなう産業廃棄物や石炭使用により急激に悪化した。そして、中国は世界最大の温室効果ガス排出国となり、「世界の環境汚染の酷い都市リスト」には、必ず中国の都市が入る。

しかし、そのような環境悪化にも関わらず、中国では今なお何百万もの人たちがチャンスを求めて都市部へ移住している。本書は、中国社会の都市開発が中国国内、さらには世界の環境に対してどのような影響を与えるかを調査、分析。中国国民一人一人、家族単位、また政府としての日々の選択という点に注目し、中国の都市でいかにして環境が損なわれているかを考察し、「持続可能な成長」をキーワードに、これからの中国社会がどこへ進むのかという問題に切り込む。また、中国都市部の富裕層、中産階級、貧困層についても独自の観点から調査し、環境汚染に対してそれぞれがどのように対処しているかも詳説。都市部で子供を育てる親の、環境リスクから我が子を守りたいという思いは非常に強く、また、台頭する中産階級からの生活環境改善への要求は、政府の環境政策への大きなプレッシャーとなっていると指摘する。

さらに、米国都市部の進化の歴史と中国都市部を比較し、中国経済の基盤も重工業からより環境に優しいものに移行するため、多くの中国都市部では今後20年で環境改善が達成されると予測。「環境に優しい中国」は、中国国内のみならず世界の安定につながると結論する。