フランクフルト ブックフェアー 2004 開催!


< 2004年 フランクフルト・ブックフェアーリポート! >

規模、参加人数ともに世界最大の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェアー」が、同市の中心街にある見本市会場「メッセ」において10月6日(火)から10日(日)の間で開催されました。6日(水)から8日(金)までの3日間は、のべ110ヶ国から、書店、出版社、エージェント、図書館司書、著者など15万人を超える人々が、版権の取引・書籍の注文を中心とする商談に訪れ、一般公開がおこなわれた週末の土日には、地元の書籍愛好者で賑わいました。

 東京ドーム約8個分のスペースを有する広大な「メッセ」の移動には、徒歩、もしくは、会場内を巡回するシャトルバスを利用します。シャトルバスは、フェアーに出展している出版社の広告で彩られており、ドイツのマンガ出版社Carlsenによる日本の翻訳マンガ『Daisuki!』と『Banzai!』の広告がなかでも特に目立っていました。

  今年のブックフェアーでは、12棟ある建物のうち、3〜6号と8号の合計5棟がイベント会場として使用されました。今回の商談、および視察の対象となったのは、そのうちの3,6、8号館の3棟です。

3号館のコミック・センターには、日本のマンガの英語・ドイツ語訳を出版しているTOKYOPOPやCARLSEN、マンガの書き方教本を販売するグラフィックス社、そしてJETROがブースを出展していました。グラフィックス社のマンガの書き方教本については、海外でとても人気があり、あらためてマンガ文化の浸透が進んでいることが実感できます。日本以外では、台湾や中国など、近年マンガ文化が定着しつつある国のブースも目立ちました。一般公開が始まると、コミック・センターにはマンガファンの子供達がおしかけ、大盛況でした。センター内に設けられた、マンガ原画の展示会場は、コスプレ少女たちに占領され、そのすぐ隣では、ドイツ人漫画家のサイン会がおこなわれていました。ドイツのマンガ家が描くキャラクターは、日本のマンガの影響が多分にあることは否めないものでしたが、一方でマンガの技術はすでに日本のコピーから離れ、地元の作家による独自の作品が生み出されていく過渡期にあるのだということが実感できました。

                

日本の出版社が出展している6号館の1階には、ノルウェーやデンマークといった北欧や、ベトナムやタイなどのアジアの国々も出展していました。日本会場の中心的存在だったのが、社団法人・出版文化国際交流会です。同会のブースでは主に、世界文化社の『婦人画報』英語版、静岡県の翻訳コンクールのプロモート、中小出版社の寄合である出版梓会、こぶし出版、そして学術図書や絵本の紹介をおこなっていました。一方、日本の折り紙や、マンガの書き方の英文教本を出版している日本出版貿易株式会社は、バラエティあふれる英文教本を数々紹介していました。

また、6号館の2階には、「エージェント&スカウト・センター」があります。エージェントとは、著者や出版社の代わりに出版権の交渉をおこなう代理人のことを言います。多くの会場がアポイントメントなしでも入場できる一方で、このセンターは、あらかじめアポイントメントを取った人間しか入れません。警備も他に比べてかなり厳重です。一つのエージェントに一つの机が与えられ、交渉が各々の場でおこなわれます。基本的には、英語圏以外のエージェントとの交渉はこの場が中心となるため、日本のエージェントも、この会場で見かけることができます。

英語圏の出版社が集中する8号館ではマクミランやペンギン、タイム・ワーナーといった大規模な出版社が、広大なスペースの会場を用意しており、連日多数の人々が商談に訪れていました。中小の出版社は、4〜6坪ほどのスペースにそれぞれ趣向を凝らしたブースを設けて、商談や書籍のプロモーションをおこないます。また、個人のエージェントも、2坪ほどの個人ブースで商談に応じていました。

8号館のそこかしこでは、業界紙のフリーペーパーを配って歩くコンパニオンの姿をよく見かけます。英国の書評・出版業界紙『The Bookseller』は、ブックフェアー特別版として、6〜8日の三日間は日刊の業界紙を無料配布して、期間中の各社の動きや、目立ったイベントについていち早く伝えていました。他にも、『publishing news』『Publishers’ Weekly』『New York Review of Books』が、ブースや会場のあちこちで配られており、このフェアー自体が、国際的な出版情報の発信地であることが実感できます。

                    

加えて、8号館で注目されたものの一つに、グーグルの新サービス「Google Print」のプロモーションが挙げられます。これは、書籍の無料データベースで、出版社がグーグルで紹介したい書籍を登録すると、登録された書籍は図書紹介のページに、タイトル、著者名、概要、本文の抜粋が掲載され、オンライン書店とのリンクと広告がつくというものです。利用者のクリック数や、興味を自動的に分析する機能もあわせもっているため、マーケティングのツールとして利用することもできます。今のところは、英語の書籍のみがサービス対象のため、日本語を含む多原語のものはまだ掲載することはできないそうです。

さて、ブックフェアーも午後4時ごろを過ぎると、会場のそこかしこで打ち上げの即席立食パーティが始まります。主に白ワインと、フランスパンの上にハムなどをのせたおつまみが振るまわれ、関係者以外の人間も自由に参加できます。また、お昼頃ともなれば、昼食を食べながらの商談や、ワインを飲みながらブース内で談笑している参加者たちを見かけることも珍しくありません。日本会場が在フランクフルト領事館とともに毎年おこなっている「Happy Hour」は特に人気が高いそうで、今年も見たところ100人以上の方たちが詰め掛けているようすでした。

まさに世界の出版関係者が一堂に会する最大のブックフェアー。いったいこの会場でどれだけの商談がまとまったのでしょうか。

トランネット出版権事業部 赤城行則

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