第21回 パリ・モントレイユ 2005 児童書展 開催!


忘れられたプリンセス
21e SALON DU LIVRE 2005
        ET DE LA PRESSE JEUNESSE! REPORT

パリのモントレイユで毎年恒例の「フランス児童書展」が開催された。今年の訪問者数はおよそ15万人。うち3万人が学校の課外授業の子供たちというから、フランスの学校でも重要な役割を担っている。アート感覚あふれる楽しい絵本から、歴史ものを扱った長編小説まで多くの書籍が、訪れた子供たちや学校の先生の前にお目見えした。
セーヌ・サンドゥニ県の西に位置するモントレイユ。セーヌ・サンドゥニ県といえば、2週間前までパリ郊外貧困地域で起こった暴動の中心となっていたところでもある。とはいえ、モントレイユは同県最西端に位置しパリ市内から地下鉄で30分ほどのところ。会場も地下鉄ロベスピエール駅から歩いて5分とあって、危険に見えるところはなかった。
しかし、今回の暴動で明らかになったように、「パリ郊外」の新たなイメージであるアフリカ系移民の第2、第3世代のフランス人の姿が多く見られた。



2005年「フランス児童書展」は「フランスにおけるブラジル年」とあって、この児童書展に「ブラジル」が招待国として選ばれた。地下の特別展示場では、ブラジルの出版社がブラジル語(ポルトガル語)の原書を数多く展示・販売していた。有名作家の中には「ベアトリス・タナカ」など日系ブラジル人の名前も挙がっており、移民国家のブラジルらしさが目立った。ブラジルの書籍には原色を使ったカラフルな絵本も多く、読者が持つブラジルのイメージともぴったり。扱っているテーマも水、森、動物など、自然を中心とした内容が多く、広大なアマゾンを持つ国ならでは。この他、児童書展内では、「多民族国家」フランスを反映して、フランス語圏中央アフリカの出版社協会もブースを出しており、学校の先生を中心にアフリカの文化をテーマにした書籍を手にしていた。

              

特別展として「動物パレード・ブックショップ」が開設。ここでは「動物」をテーマに、主人公に動物を取り入れた書籍から写真中心の動物辞典まで、出版社を問わず数多く展示・販売された。本を載せる台もキリンやライオンなど動物をあしらった工夫がなされ、小さな子供たちがお母さんと一緒にページをめくる姿も見られた。ウマ、ヒツジ、アヒルなど、動物を主人公にした絵本がこれだけたくさんあることに驚かされるばかり。明るく楽しい動物たちの物語を読んで、子供たちは素敵な夢を見られるのだろう、と思わず私まで笑顔になった。

              

もちろん今もMANGAブームは健在。マンガを多数出版しているVertige Grafic社のブースではなんと『はだしのゲン』のポスターが。ゲンの叫ぶ声が今にも聞こえてきそうな大きなポスターは、日本人の私だけでなくフランス人の若者にもインパクトのあるものであったに違いない。今回は韓国語のMANGAポスターもたくさん見られ、日本だけでなくアジア全域のMANGAが人気となっていることもわかった。

                      


2005年秋頃からフランス書店でも目立っていたのが「ガールズ・パワー」とでも言うべき、女の子そのものをテーマにした本。同児童書展の多くの出版社ブースで「女の子」ブームの勢いが見られた。一昨年仏ラジオ局RTL主催の児童書グランプリを受賞し、2004年11月10日 『Princesses oubliees ou inconnues...(仮題、忘れられたプリンセス、誰も知らないプリンセス)』として ” Hachette社 ” から発行された。

          

これ以来他社も競って「プリンセス」を扱ったさまざまな書籍を出すようになった。これと平行して、「女の子(フランス語でFilles)」を真正面から扱う書籍まで出版し始めた。タイトルも「女の子大辞典」から「女の子マニュアル」「女の子ガイド」「女の子コレクション」など、さまざまでバレリーナや妖精など“女の子らしい”主人公の物語も多く目立った。特徴はたいていピンクや赤など「女の子色」を多用している。この「ガールズ・パワー」の勢いは日本を含めた海外にまで届くのだろうか?


 日本でも人気のポメロのイラストレーター
        ショ・バンジャマンのサイン会

同児童書展でサイン会を行った児童作家・イラストレーターの数、なんと1500人。多くの子供たちが、大好きな本を手に憧れのイラストレーターの直筆サインをもらって喜んでいた。多文化に焦点を当てた書籍から動物絵本、MANGA、女の子ガイドまで多彩な書籍が揃った今回の児童書展。フランス語書籍の種類の豊富さに改めて驚いただけでなく、児童書に特化したブックフェアとあって本を読みふける子供たちの笑顔まで見られることができたのは、いつものブックフェアとは違う思い出となった。
<<取材・インタビュー>>
フランス在住 TranNet 会員 玉置祐子
フランス系通信社の記事翻訳を行いながら、フランスの田舎町でスローライフを満喫中。
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