FBF logoフランクフルト・ブックフェア 2008
October 15 - 19, 2008
Frankfurt, Germany


Frankfurt Book Fair 2008


最近、危うく海外版「振込め詐欺」にひっかかりそうになったので、まずはそのお話から。小社は頻繁に海外のブックフェアに参加しているので、会場のテーブルブッキングをはじめ、ブックフェアカタログへの住所や事業内容の掲載、その他の書類手続きを数多くこなされなければなりません。そこにつけこんだ連中の手法たるや実に巧妙で、紛れも無く私の署名入りの書類を海外からファックスで送りつけ、「確かに●●に広告掲載を申し込んだのだから、延滞料金を●%上乗せした3225ドルを今すぐ払いなさい。払わなければ法的手段に訴えます」と、ファックスや手紙、果ては国際電話とあの手この手で揺さぶりをかけ、小心者の私を容赦なくいたぶるのです。ところが、後になって友人のエージェントから指摘されてわかったのですが、この私の署名入り書類は、あるブックフェアから横流しされた個人情報を悪用したものらしく、当の悪徳会社もそのブックフェアから訴えられている悪名高い詐欺集団とのこと。実は、早く払って解決したほうがいいのかと深く思い悩んでいただけに、事実関係がわかるや、「○ァーーッック!!!」と職場では決して口にしてはならない言葉を叫び、めずらしくキレてしまったのでした。海外にも「振込め詐欺」ってあるんですね。

さて、先月15日〜19日に開催された、世界最大の図書展であるフランクフルトブックフェアに参加してまいりました。世界的金融不安の影響があるのでしょうか、今年は例年になく、ずいぶん沈んだ雰囲気でした。金融不安だけでなく、高騰する燃料サーチャージや、近年急激に存在感を増したロンドンブックフェアに参加者を奪われている影響もあると思います。とは言え、私どもジャパニーズ・ライターズ・ハウスにとっては実り多いブックフェアだったと思います。

今回、日本の作品に興味を持っている多くの海外関係者から、「小川洋子のような作家はいないか?」と訊かれました。海外において小川洋子氏はここ数年で格段に知名度が上がったようです。また、「日本特有の文化的背景、あるいは現状を反映している小説、あるいはマンガはないか?」というリクエストも増えてきたように思います。ちょっと前までは(今も多分にそうなのでしょうが)、「日本特有のものは事情が異なるから翻訳にむかない」といって断られるケースが多かったのですが、日本文化が世界に広まるにつれ、日本の事情がそのまま反映されているほうがかえって「クール!」ということになりつつあるのでしょうか。2007年文化庁メディア芸術祭マンガ部門で初の同人誌受賞作品となった、『天顕祭』(白井弓子著)を紹介したところ、たいそうな人気を博しました。この作品は、ヤマタノオロチ伝説の息づく未来を描いていて、50年に1度の秘祭<天顕祭>の秘密を圧倒的な画力とラブストーリーとを通じてあきらかにしていく、読み手をぐいぐいと引き込む力強い作品です。チェコ、イギリス、イタリア、アメリカの関係者が特に気に入ってくれて、上手くいけば、世界の文学を紹介している、アメリカのオンラインマガジンWords Without Borders の2月号に掲載される可能性もあります(今年の8月には小社を通じて『悪夢百一夜』(花輪莞爾著)の中の一篇『正気』が紹介されました)。実用書、経営書等は相変わらずロシアで需要が高まっており、小社を通じてすでに4案件が進行中です。

今年のブックフェアで嬉しく思ったのは、小社が発行する海外向け英文メールマガジンがずいぶん多くの関係者に読まれていて、こちらが知らない人からも声をかけられるようになってきたことです。また、小社では海外向けだけでなく国内向け(編集者/作家)にもメルマガを出しています。特に編集者向けのメルマガでは版権があいている洋書を紹介し、小社の翻訳によるベストセラー書も誕生しています。最近では海外の権利者に対して、日本円にして1000万円を超える印税が支払われるケースも出てきました。そういった経緯もあり、今回、わざわざご挨拶に来られたアメリカの出版社社長さんもいらっしゃいました。

今年も世界の出版関係者と事前に数多くのアポを取り、5日間、朝から晩まで広大な敷地に分散している巨大な会場を行ったり来たりして駆けずり回りましたが、一体どのくらいの距離を歩いているのか、来年からは万歩計を持参しようと思っています。毎回、会場の移動中に様々なイヴェントを垣間見ることが出来てワクワクするのですが、今年はゴルバチョフ元ロシア大統領が、自著のプロモーションで講演していました(サインをもらおうと近づいたところ、SPに阻まれてしまいましたが)。

現在、南米、中東にも作品を売り込んでゆける態勢を整えつつありますので、ゆくゆくは日本の作品を世界の隅々まで広めてゆきたいと思っております。どうか今後ともジャパニーズ・ライターズ・ハウスをよろしくお願い申し上げます。


(近)



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