ロンドンブックフェア 2008
April 14 - 16, 2008
London, U.K.

London Book Fair 2008


国際的図書展として定着したロンドンブックフェア(以下、LBF)が、今年も4月14日からの3日間、ロンドンにある見本市施設「アールズ・コート展示センター」で盛大に開催されました。10月のフランクフルトブックフェアから半年後というタイミングもあって、権利売買の商談を目的に、世界中から出版社員、著作権エージェント、作家など、様々な関係者が一堂に会し、来場者数は3日間で延べ2万人を超えるほどに達しました。

今回は普段、関係者以外はなかなか知ることのできない現地での模様をお伝えします!

会場風景を写真でご覧下さい。

初日の朝は、会場に押し寄せた参加者で満員電車状態でした。

マスコミ関係者も取材で忙しく会場をまわっていました。

    


サウジアラビア大使館のブースには、メッカにあるイスラム教の聖殿カアバのレプリカが展示されていて、そのあまりの精巧さに、多くの来場者が見入っていました。





料理本のアカデミー賞ともいわれている、グルマン世界料理本大賞の主催により、オプラ・ウィンフリー・ショーのレギュラーゲストとしても有名なシェフ、Art Smith 氏や、フランス料理教育の最高峰ル・コルドン・ブルーの最高シェフTrish Deseine氏をはじめ、世界からスターシェフ14名が会場に迎えられ、来場者の前で競演していました。



混雑する会場内を、人波を掻き分けるようにして進んで、ようやく会場2階にあるインターナショナル・ライツセンターにたどり着きます。ここは著作権エージェントがテーブルを構え、30分刻みで様々な関係者と商談を行う場で、一般の立ち入りは禁止されています。



ありました!







早速商談開始です。まずは、ロシアのサンクトペテルブルクに拠点を持つ小社の共同エージェント、GOUMEN & SMIRNOVA LITERARY AGENCYのお二人。向って左がNatalia、右がJuliaです。毎回、パンクロックのメンバーかと見紛うほど派手なスタイルなのですが、今回はおとなしめの格好でした。もう6年の付き合いになりますが、お二人の熱心な活動のおかげで、田口ランディ氏の作品が西欧にお目見えすることができたのです。最近ではビジネス書や実用書も含め、幅広いジャンルの作品をモスクワの大手出版社に仲介してくれています。一緒にチョコレートをむしゃむしゃやりながら、あっという間に30分が過ぎてしまいました。

つづいてチェコの出版社TALPRESS社のTalas社長。右手には、なんとプリントアウトされた小社の作品が握り締められ、「これに興味があるんだ!」と熱烈至極。まだチェコに作品を売ったことはないのでチェコの市場について語ってもらいました。人口は約1千万人だが、93年に分離独立したスロバキアでもそのままチェコ語で本を出せるメリットがあることなど、たいそう興味深いお話でした。


チェコに続いてはハンガリーの出版社EUROPA KONYVKIADO社のLaszlo Gy. Horvath編集長。1950年創立の同社は、60年代〜80年代にかけて、三島由紀夫、大江健三郎、川端康成らの作品を手がけてきましたが、その後は日本作品の情報が少なくなったこともあり、一旦休止。最近インターネットで情報を探していたところ、小社の英語版ホームページでジャパニーズ・ライターズハウスの存在を知り、今後は日本の現代小説やノンフィクションを手がけたいと強く思うようになった経緯をお話しくださいました。今回のブックフェア前に、日本語のできる翻訳者も手配済みという熱心さ。その翻訳者さんは、日本人男性と結婚し、現在東京在住の優秀なハンガリー女性ということで、今後、その翻訳者さんに日本語の原書を小社からお送りし、一緒に企画検討を行うこととなりました。

次はイタリアの共同エージェント、IL CADUCEO のお二人。向って左がMarinella、 右がTuvia。Marinellaはもともと映画の脚本家でもあったのですが、本好きが 高じてリテラリー・エージェントに転身。現在はフランスに住み、イタリア人作家の代 理人を務める傍ら、ジャパニーズ・ライターズハウスの作品をイタリアやルーマニア に仲介してくれています。週末にはフランスとイタリア間を車で往復し、両国の新し い才能(作家)を常に探しているほどの情熱の持ち主。一方のTuviaは元大手出版社の編集者。イタリア人ですが、イギリスで教育を受け、今はヨーロッパ圏のみならず北米にも活動範囲を広げてエージェント活動を続けています。西欧ではお二人のように自国に限らず、多数の国をまたにかけて活躍するのが普通です。地続きという地理的要因もあるのでしょうが、国境を軽々と越えて活躍している同業者たちがちょっぴり羨ましくもあります。

ところでブックフェア会場では『The Bookseller』や『Publishers Weekly』のような業界誌が毎日フェア期間中に起きたニュースを速報しています。それによると、かつて『ワイルド・スワン』を世に出したことでも有名な英国のリテラリー・エージェント、TOBY EADY が、また中国人著者Yu Danの、儒教を現代向けに解説したノンフィクションの出版権を英国系大手出版グループであるマクミラン社に、前払い金10万ポンド(約2300万円)で売ったと報じられていました。中国作品がこれほどの高額で英語圏出版社に売れるのは史上初めてだそうです。Toby Eadyは以前から日本の作品にも興味をもっていたことは知っていましたが、今回、私が前職でお世話になっていた英国マクミラン社が仲介の労をとってくださったこともあり、ついにお目にかかる光栄に浴しました。お会いしたTobyは七〇代の渋みのある紳士といった感じですが、小社のライツリストを手にしたとたん、眼光するどく一気に目を通し、3作品に興味があるとおっしゃいました。Toby のような一流エージェントにリクエストをいただけたのは誠に光栄です。「日本のディテクティブ・ストーリーには注目しているんだよ。日本には中国以上に世界に紹介されないまま眠っている優れた作品が山のようにある。まずは一緒に英語圏に出していこうじゃないか」と嬉しいコメントまでいただきました。

今回は初めてお会いした関係者も多く、皆さん、日本の作品の可能性を実に熱心に語ってくださいました。まずは英語圏での出版を目指し、その後、多言語圏に広めていくという私たちの戦略は間違いない、と確信した今回のロンドンブックフェアでした。

(近)

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