出版業界ニュース ―― 来日した『英国出版社協会視察団』をサポート!

11月14日〜18日 英国出版社協会がイギリスの出版社10社を引率して来日、世界第二位の巨大な市場 " 日本出版業界の実態を調査 "。 TranNet は全日に亘り、日本出版業界の視察をサポート!!


普段あまり意識することはないが、日本の出版業界は売上規模や出版点数の多さでは、アメリカに次いで世界第二位の巨大な市場である。先週、この巨大市場の実態を調査する目的で、英国出版社協会がイギリスの出版社10社を引率して来日した。

        
     英国大使館で開催されたレセプションパーティー
 
ネイチャー・パブリッシンググループ・アジア地区代表のデイビッド・スウィンバンクスを団長とし、今回参加したイギリスの出版社は様々な分野で活躍している。例えばエディンバラ大学出版局のような学術図書を専門とする大学出版局から、コーガン・ページ社のようにビジネス書を中心とする出版社、またはポップアートやグラフィックノベルを手がけるメトロ・メディア社までそれぞれの専門領域の幅は広く、関心のある分野も異なる。しかし、いずれも日本のマーケットとの取引を拡大したいという思いは同じである。

                  
        日本書籍出版協会との間で行われたミーティング&レセプション。

  たった一週間という短い期間ではあったが、主要な日本の出版社や書店、取次会社、大学図書館などを見てまわり、その都度意見交換や質問が積極的に行われた。
例えば、これまであまり知られていなかったが、学術系の出版社や雑誌社にとって、大学図書館での違法コピーというのは非常に切実な問題だという。専門書は比較的高額なため、学生が試験の前に必要な部分だけコピーしてしまうというものである。もちろん法律での規制はあるのだが、実態としては守られてはいないようである。また、製薬会社が最新の論文を入手するために、学術系の雑誌をコピーして社内で使用する例も数多くあり、売上に直接関係する来日した出版社は、もちろんその辺の事情が気になるのだろう、対応策がないか積極的に質問していた。

            


また彼らが驚愕していたのは日本の書籍の返品率である。悪いときには平均40%近くにもなる返品率はちょっと考えられない数字らしい。イギリスではこの半分くらいだそうだが、日本国内における出版点数の増加、独特の書籍流通の仕組み、書店の実態などをつぶさに知るにつれ、ようやく理解したようだ。しかし、このままでは業界全体がいつか危機を迎えるのは必然で、それに対してどのような取り組みがなされているのか、といった日本側には痛いところを突かれた。イギリスの出版事情も芳しいわけではないが、双方の業界を比べると、日本の出版業界の体質が20年は遅れているといった印象を持ったらしい。

カベンディッシュ・パブリッシングのソニー・リヨン氏は、
「誰だって変化は嫌いだ。自分もそう。でも危機を迎えることを知りつつ何もしないのはいつか破綻をきたす。日本の出版界もいずれ転換期を迎えるだろうが、そこで淘汰されるものも多いだろう。業界全体が硬直しているように思える。なんとか頑張って業界全体の体質を変えてほしい。今後もお互いのために定期的にコンフェランスを開催しようではないか。」
とメッセージをいただいた。様々な問題はすでに周知の事実ではあったが、彼らからの指摘を受けて、改めて危機感を感じた次第である。

レポート:TranNet ライツ事業部 近谷浩二
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