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藤崎百合(第591回オーディション作品入賞者)

第591回 オーディション 作品入賞

訳書名 『すごく科学的 SF映画で最新科学がわかる本』
訳書出版社 株式会社草思社


入賞者の声

 思い返せば、英語はずっと私の天敵でした。暗記が苦手で、試験では英語に足を引っ張られ、英語の読解はまるで暗号解読のよう、30歳も過ぎて今後の人生は英語から逃げ切ったと思っていた頃、海外旅行すら未経験のままに、夫の転職でアメリカに住むことに。そして、現地でようやく、英語が暗記科目や苦手ツールではない、「生きた言葉」だという当たり前のことを実感したのです。もともと読書好きで、図書館に通って絵本から読むようになり、オーディオブックにはまり、ドラマや映画を夢中で見続け、4年ほど経って翻訳の仕事を少しずつするようになりました。帰国後は二足の草鞋で映像翻訳や実務翻訳を行い、今は翻訳業に専念しています。理系出身で英語との出会いが遅い私にとって、出版翻訳はまさに「夢の世界」ですが、思い切って入会したトランネットでリーディングなどのお仕事を頂くようにもなりました。
 訳書は、SF映画を題材に最先端の科学までわかりやすく説明する本です。概要に興味をひかれて原書を取り寄せ、気がつけば課題以外の部分も楽しく読了。よく練られた内容と軽妙な語り口に惚れこんで、「選ばれたい」という受け身の考えは「この本を自分で絶対に訳す」というギリギリするような思いへと変わり、訳者に決まったときには喜びと納得がないまぜになった気持ちでした。
 テーマが多岐にわたるうえ専門性の高い内容もさらっと説明されている本なので、それと釣り合う訳文を作るための勉強と調べ物に追われましたが、すべてが楽しかったです。作者たちの掛け合い漫才のような対話もあり、駄洒落の訳に頭を捻るのは、まさにご褒美でした。また、コーディネーターの方の徹底的な赤入れには感謝しかありません。完成した訳書だけでなく、赤の入った原稿もまた、今の自分の実力を表し、今後の方向を示す宝だと思っています。
 実は、この文章を書いている今も「これは!」と思うオーディションの結果を待っているところです。これからも、皆さんと一緒に挑戦を続けたいと思っています。

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