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原題 Open to Think: Slow Down, Think Creatively and Make Better Decisions
著者 Dan Pontefract
分野 経営/自己啓発
出版社 Figure 1 Publishing
出版日 2018/9/11
ISBN 978- 1773270272
本文 これまでにベストセラーを2冊出している著者の3冊目。本書では、人であれば誰もが行っている「考える」ということを取り上げている。

著者は、現代社会では深く考えず、結論に飛びつく人が多いと指摘する。なぜなら、素早い決定や行動が成功の鍵だと考えられているからだ。しかし、この方法では失敗に終わることもある。また、世の中にはフェイクニュースが溢れている。情報を吟味しない行為は非常に危険だ。そこで、著者はこういった困難を解決できる、創造的で効果的な思考方法、「オープン思考」を提案する。

「オープン思考」とは、「創造的思考」、「批判的思考」、「応用思考」の3つを繰り返し行うことである。

著者は数多くの実例を挙げて「オープン思考」を説明する。著者自身のお気に入りの体験は帽子店を訪れた時のことだと言う。帽子作りを見学するつもりで店を訪れたのだが、そこが「オープン思考」の現場だったのである。帽子の作り手と顧客、または作り手同士で盛んに意見交換(創造的思考)を行いながら、内容を吟味し(批判的思考)、帽子の縫製やアイロンがけ(応用思考)をしていた。帽子のオーダーメードという、時代遅れのように見える商売だが、1980年代の開店からビジネスが続いている。「オープン思考」の成功例である。

著者は熟考し、行動せよと繰り返し主張する。そう言われても、時間がないと悩んでいる人は多いだろう。しかし、本書は考える方法を変えるだけではなく、価値観をも変える一冊になるかもしれない。