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権田敦司(第670回オーディション入賞者)

第670回 オーディション 作品入賞

訳書名 『エコノミック・ヒットマンの世界侵略 米中の覇権が交錯するグローバル  経済のダークサイド』
訳書出版社 株式会社二見書房


訳書名 『シンクロニシティ 科学と非科学の間に』
訳書出版社 株式会社あさ出版


翻訳ストーリー

 突然ですが、みなさん「ざっくり翻訳」ってご存知ですか? 通称「ざく翻」。もしかしたら「あ、知ってる、知ってる!」って今、ニヤニヤした人もいるかもしれないですね。はい、某FM局の人気昼番組のワンコーナーです。パーソナリティはシンガーソングライターのLOVEさん。彼女が、歌詞の内容を知ってそうで知らない洋楽のヒットナンバーを、日本語にざっくり翻訳して、楽曲に合わせて歌っちゃおう、というなんとも面白い、そして翻訳者にとっては大変タメになる?コーナーなんです。
 たとえば、先月来日した大御所ビリー・ジョエルの「Honesty」であれば、こんな感じ(ご存知の方はメロディーを思い浮かべながら、どうぞ)。

♪Honesty, such a lonely word~ Everyone is so untrue~♪しょ~じきぃ~ めっちゃ、む~なしぃ~ み、ん、な、うっそぉ~ つっきぃ~ ン、チャッ、チャッ、チャッ・・・

 あのメロウな名曲が、いかにも心に傷もつ、騙されたぁ~人間の愚痴披露曲に大変身。そう、美しいサビのメロディーに、一気に大衆酒場の哀愁感がまとわりついてくるから、翻訳って不思議ですよね!?
 ちなみに、私が「Honesty」を初めて聴いたのは今から約30年前、中学生のとき。音源はカセットでした(ご存知ない方はグーグルを、どうぞ)。当時のラジオいわく、「Honesty」は日本ではヒットしたけれど、本国アメリカではさほど売れなかったとのこと。アメリカ人には、歌詞がまさに「ざく翻」のようにきこえたからかもしれません。
 まぁ、真偽のほどはさておき、翻訳に不思議な力があるのは確かかも……。LOVEさんは言います、言葉は心意気!
 もし翻訳で煮詰まっている方がいらしたとしたら、ぜひ気分転換にラジオをつけてみてくださいね。
 以上、オーディション戦績ざっくり1勝9敗の権田がお届けしました~♪

川崎千歳(第661回オーディション入賞者)(※「崎」はつくりの上部にある「大」が「立」になっている「たつさき」が正式表記です)

第661回 オーディション 作品入賞

訳書名 『「変化を嫌う人」を動かす 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』
訳書出版社 株式会社草思社



翻訳ストーリー

 消去法による選択ではありましたが、英語学科に進んだときは翻訳家へのぼんやりとした憧れがあったような気がします。とはいえ特に翻訳の勉強をするでもなく、大学卒業後は外資系コンピューターメーカーに就職しました。翻訳を仕事にしたいと改めて思ったのは、業務の一環で技術文書を訳したときです。その後、リストラが始まったのを機に翻訳者への転身を決意。本や雑誌などを活用して翻訳スキルを習得し、半年ほどでIT分野の実務翻訳者として歩き出せました。仕事が軌道に乗り、出版翻訳にも挑戦したいと思うようになったところで、前々から気になっていたトランネットに入会しました。しかしながら、最初の2年ほどは第一選抜通過すら望めない程度の訳文しかつくれず、オーディションには応募できずじまいでした。
 リーディングを6~7冊こなし、たまにオーディションで最終選考に残れるようになった頃、初めての訳書となる『PUBLIC DIGITAL』のお話をいただき、トライアルを経て訳者に選出されました。通知を受け取ったときは夢心地でしたが、すぐに不安が襲ってきました。私にできるのだろうか。案の定、訳稿の提出はたびたび遅れ、スケジュールも何度か見直していただくことに。関係者の方々にはご迷惑をおかけしました。それでもなんとか訳し終え、数カ月後に書籍が手許に届いたときは感激しました。
 オーディションを通じて翻訳の機会をいただいた『「変化を嫌う人」を動かす』でも、訳稿提出が遅れがちな傾向は変わらず、英文読解力、調査力、日本語の文章力など、翻訳に必要な各種能力の不足を痛感しました。私にとっては最初や2冊目の訳書であっても、読んでくださる方々には関係ありません。訳者のせいで原書の評価が下がるような事態は許されず、責任の重さも実感しました。
 翻訳を通じて海外の知見を伝える役目を果たし続けられるよう、これからも翻訳力の強化に取り組んでいくつもりです。

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