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原題 In Search of Mycotopia
著者 Doug Bierend
ページ数 336
分野 生物/バイオテクノロジー/料理/ライフスタイル
出版社 Chelsea Green Publishing
出版日 2021/3/10
ISBN 978-1603589796
本文 菌類は学術的には、真菌と呼ばれる真核生物で、原核生物である細菌(バクテリア)とは区別される微生物です。目立たない存在でありながら、動植物界で重要な役割を担う多様性のある生物です。本書のタイトルからはこうした菌類に関する難解な生物学の書籍という印象を受けるかもしれませんが、そうではありません。

本書では、菌類が私たちの日常にあふれ、人間の食生活を大いに支えていることを実例を通して説明します。たとえば、イタリアンレストランに行って、赤ワインを嗜みながら、マッシュルームとゴルゴンゾーラチーズがたっぷりのったピザをほうばっているとしましょう。その人は菌類の恩恵を受けながら食事を堪能していることになります。菌類とは、キノコ(マッシュルーム)、カビ(ゴルゴンゾーラチーズの発酵に必要)、酵母(ピザ生地の発酵と赤ワインの醸造に必要)などのことです。

菌類学を研究する人の中にはアマチュアの市民科学者も多く、ソーシャルメディア上には関連したコミュニティが数多く存在します。著者によれば現在、菌類の一大ムーブメントが起きているとのことです。本書では、新進気鋭のフリージャーナリストが世界中の菌類学者や関係者と協力しながら、様々な菌類を探し求めるエピソードを語っていきます。ときにユーモアを交えながら、グルメから医薬品にいたるまで、菌類が持つ様々な可能性を検証していきます。