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原題 Span Of Control
著者 Carey D. Lohrenz
ページ数 288
分野 自己啓発、ビジネス
出版社 DROPCAP
出版日 2021/06/01
ISBN 978-1950863662
本文  2018年、激務の最中にあった著者のもとに、一本の電話がかかってくる。彼女の母親が体調を崩したというのだ。病院で診察してもらうと肺炎と診断され、入院することになった。そばにいたいと思った彼女は、母が入院している病院にかけつけた。ただ最初は、数日もすれば退院できるだろうと彼女も高をくくっていた。
 ところが母の容態は悪化の一途をたどっていった。体はみるみる弱っていき、ほっそりとしていた足は、なぜか倍以上に腫れ上がっていた。レントゲンをとったり、血液を採取したり、さまざまな検査が行われた。その診断結果に彼女は言葉を失う。母は肺ガンを患っていたのだ。その後の懸命な処置にもかかわらず、母は帰らぬ人となってしまった。このときの辛い経験は彼女の思考に大きな影響を与えている。
 人生にはどうすることもできない、心の傷を負うような苦しい困難が立ちはだかることがある。そうした経験を持つ人々から多くを学び、この激動の時代を生き抜く方法を模索することには、大きな意義がある。著者は米空軍で女性初のF-14トムキャット戦闘機パイロットとなり、退役後、数多くの企業の経営コンサルティングを行ってきた異色の経歴の持ち主だ。本書は米軍やビジネスの現場で過酷な体験をしてきた著者が、目の前の危機や苦難を乗り越えるための考え方について、様々なエピソードも交えながら解説していく。
 著者によれば、苦しい状況に直面したときは、自分がコントロールできる範囲(Span of Control:統制範囲)をしっかり認識することが大切だという。そのことを念頭に、本書は明確なビジョンを設定し、そのビジョンを具体的な目標に昇華させ、成功へのプランを作成し、それを実現するための具体的なメソッドについて考えていく。