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原題 Schwarmdumm: So blöd sind wir nur gemeinsam
著者 Gunter Dueck
分野 ビジネス/社会科学
出版社 Campus Verlag(独)
出版日 2015/2/9
ISBN 978-3593502175
本文 今の時代、知りたいことや困ったことがあれば、友人知人だけではなく、インターネットを通じて誰かに尋ねることもできる。このとき頼っているのが「集団的知性」で、ビジネスでも大きな助けとなりうるものだ。しかし、会社の中では集団での作業がむしろ私たちを堕落させることが多い、と著者はいう。

集団がある程度の規模になると、知恵を集めるよりも「船頭多くして船山に登る」という事態になる。無意味な会議を行い、納得していなくても譲歩し、チームで一丸となって働いたのに中途半端な結果しか出せなかった、という経験はないだろうか。

著者はこのような状況を「集団的無知」と呼び、人はチームに入るとよりよい決断ができなくなると指摘する。とくに規模の大きな組織の中では、納期などの時間的な制約や、結果を出さなくてはならないといった重圧があるせいで、革新的なことやクリエイティブなことができなくなり、良いアイデアを実行に移せなくなるのだ。

本書では、「チームワークは良いものである」という思い込みに疑問を呈し、「集団的無知」が起きる原因を分析して、大勢で作業をすることの弊害を解説する。さらに、集団の中でも個人の力を発揮させ、良い成果を出す方法も指南する。