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原題 Smart Citizens, Smarter State: The Technologies of Expertise and the Future of Governing
著者 Beth Simone Noveck
分野 社会/政治
出版社 Harvard University Press
出版日 2015/11/2
ISBN 978-0674286054
本文 「人民の、人民による、人民のための政府」とは、どんな民主主義国家にも合致する理想だ。しかし現代社会では、形式的な選挙が行われるだけで、主体となるべき国民は皆、深い政治不信に陥っている。重要な問題を解決するはずの官僚は、産業化時代の悪しき産物でしかなく、むしろ様々な問題を引き起こす元凶にさえなっている。今日の複雑に入り組んだ政治問題に対応するには、彼らはあまりに力不足だろう。

著者のべス・シモーネ・ノベックは、将来を見据えた改革を提案しながら、もし政府が国民の資質をもっと上手に活用する術を知っていたら、政策決定はより効率的で筋の通ったものになっていたはずだと指摘する。人間が脳の機能の一部だけを使って物事を処理しているように、政府は科学的能力、実務能力、現実的な処世術などの知識や経験を兼ね備えた人材をほとんど活用していない。そこで、著者は専門知識という技術を「新しいツール」と呼び、「新しいツール」を持つ国民を政府に招き入れるべきだと主張するのだ。

本書では、著者の学術的な知識や、政府の制度改革アドバイザーとしての経験に基づいて、広く国民に開かれた政府や制度のあり方を模索していく。そうする中で、場当たり的な投票や不確実なクラウドソーシングといった実体のない行為ではなく、人々の知識やノウハウに重きを置いた一般参加型の民主政治という方向性が見えてくる。