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原題 Make It New: The History of Silicon Valley Design
著者 Barry M. Katz
分野 ビジネス/デザイン
出版社 The MIT Press
出版日 2015/9/4
ISBN 978-0262029636
本文 米国カリフォルニア州シリコンバレーには、世界中から多くのデザイナーたちが集まってくる。大企業のデザイン部や世界規模のデザイン・コンサルタント会社で働く者、研究所や大学でデザイン・プログラムを学ぶ者、あるいは、NGOのボランティアなど、多種多様なデザイナーたちがシリコンバレーに集結してくる。アップル社の製品が「カリフォルニアでデザイン」されていることを知らない人はいないだろう。

しかし、シリコンバレーにおけるデザインの歴史は、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがガレージでアップル社を立ち上げる数十年も前から始まっていた。本書が初めて、その歴史を解き明かす。

著者は、シリコンバレーが世界をリードするテクノロジー都市として君臨するようになったのは、製品そのものの素晴らしさだけではなく、優れたデザインの功績も大きいと考えている。本書では、1950年代のヒューレット・パッカード社やアンペックス社から、現在のグーグル社やフェイスブック社に至る工業デザインの歴史、および、エンジニアとデザイナーの力関係の変遷が、鍵となる製品例と共に詳しく解説されている。

企業がデザインを重視するようになったことに歩調を合わせるように、大学や政府もデザイナー育成プログラムに力を入れるようになった。こうして、シリコンバレーは工業デザインにおいても、世界をリードするようになったのである。

スティーブ・ジョブズやドン・ノーマンのインタビューも含まれており、日本の読者にとっても興味深い内容になっている。