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原題 Photography and Humour (Exposures)
著者 Louis Kaplan
分野 写真
出版社 Reaktion Books
出版日 2016/12/5
ISBN 978-1780236513
本文 心に残る写真もあれば、思わず息をのむ写真もある。考えさせられる写真や、ただただ美しい写真もある。さまざまなタイプの写真があるなかで、笑いを誘う写真は王道とはみなされないことが多い。

本書では、そんなユーモアをテーマとした写真を正面から論じる。集められた写真は、カメラの原型が発明された19世紀ら現代にいたるまでに撮影された100枚あまり。よくある家庭喜劇から痛烈な政治風刺、コンセプチュアルアートを狙った失敗やシュールレアリズムのブラックユーモア、さらにはトリック写真や決定的な瞬間をとらえた報道写真までと、じつに幅が広い。そして著者は、ユーモアがアイデンティティーや社会情勢、死といった重大なテーマとしばしば結び付いていることをつきとめる。

深い洞察と機知に富んでいるにも関わらず、写真を見ても解説文を読んでも、こみ上げる笑いを禁じ得ない秀逸な写真集。