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原題 Fields Where They Lay
著者 Timothy Hallinan
分野 ミステリー/ハードボイルド
出版社 Soho Press (Soho Crime)
出版日 2016/10/25
ISBN 978-1616957469
本文 人混みでごった返す、クリスマス・シーズンのショッピングモール。ジュニア・ベンダーがこんな場所にいるのは、プレゼントの買い出しに来たからではない。モールのオーナーであるロシアン・マフィアのヴラドに“万引きGメン”の役目を仰せつかったからだ。親友のルイは「ヴラドと関わったヤツは皆、死体になる」と忠告するが、ヴラドの有無を言わさぬ強面の前では、ジュニアに選択肢などなかった。

クリスマスの高揚感と、飲んだくれの父親と過ごした悲惨なクリスマス・イヴの思い出が交錯するなか、警備員に扮して万引き犯の姿を追うジュニア。ほどなく、警備の途中で親しくなった古道具屋の女主人ボニーが、“万引きセミナー”を開催していたことを知る。ヴラドへの報告をためらっているところへ、モール内で2体の死体が発見されたとの知らせが――。

「ジュニア・ベンダー」シリーズ第5弾。魅力的なキャラクター造形と洒脱なユーモアは「カール・ハイアセン、ドナルド・ウェストレイクの後継者」との評も。第1作から、エドガー賞、シェイマス賞、マカヴィティ賞、レフティ賞と、名だたるミステリーのアワードにノミネートされており、第4作の『Herbie's Game』で、2014年のレフティ賞(ベストコミッククライムノベル部門)を受賞した。