ブックレビュー
  | 原題 | Stephen King and Philosophy (Great Authors and Philosophy) | 
|---|---|
| 著者 | Jacob M. Held(編者)mい | 
| 分野 | 文芸/哲学 | 
| 出版社 | Rowman & Littlefield Publishers | 
| 出版日 | 2016/8/15 | 
| ISBN | 978-1442253841 | 
| 本文 | スティーヴン・キングの作品は通俗的で娯楽的なホラー小説とみなされることが多く、学術的思索の対象とされることはあまりなかった。本書は、そんなキングの代表作から映画化された話題作までを幅広く取り上げて、哲学者ならではのテーマと深い洞察で分析し、ホラーというジャンルにとどまりきらない膨大な作品群に通底するキングの思想、哲学に迫る。 未知の物事に遭遇したとき、人はどうするか。どうするべきか。キングは手を変え品を変えて読者に問い続けている。本書では、『キャリー』を題材に男性社会における他者としての女性を論じ、『ダーク・タワー』シリーズではニヒリズム、映画『ショーシャンクの空に』『スタンド・バイ・ミー』の原作となった『刑務所のリタ・ヘイワース』『スタンド・バイ・ミー』ではアリストテレス的友情というように、作品ごとに内包するテーマを観点に、人間のぞっとするような心の闇や、ときに神々しいまでの気高さを語りつくす。 編者自身も「ポピュラー哲学」というとおり、ちょっぴり哲学風味の、誰もが愉しく読める教養書に仕上がっている。  |