ブックレビュー
| 原題 | Austenistan |
|---|---|
| 著者 | Laaleen Sukhera他 |
| 分野 | 文学 |
| 出版社 | Bloomsbury India |
| 出版日 | 2017/12/6 |
| ISBN | 978-9386950260 |
| 本文 | ライターや編集者、科学者などの職に就くパキスタン・ジェーン・オースティン協会のメンバーが、オースティン作品からヒントを得て、現代のパキスタンを舞台に描く短編小説集。 オースティンとパキスタンという組み合わせは意外かもしれないが、時代や国が変わっても、人間の悩みや迷いというのはそれほど変わらないものだ。オースティンの作品同様、本書の主要テーマも結婚であり、主人公の女性たちは、長年連れ添った夫とのすれちがいに孤独を感じたり、結婚を目前にして揺れ動いたりしている。結婚式の描写などからパキスタンの生活をかいま見られる点も興味深い。 パキスタンでは基本的に、女性は親の財産を相続できず、就職もむずかしい。そのため、オースティンが描いた200年前のイギリスと同じように、身分や財産によって決まる結婚に頼らざるを得ない。7作目には、主人公が自活と自立の決意を固めるシーンがあり、パキスタンに根強く残る家父長制への女性たちの“宣戦布告”のようにも思える。 各短編の冒頭にはオースティン作品の一節が引用されているので、オリジナルと比較しながら読むのも面白い。 |