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原題 You Can’t Always Get What You Want: My life with the Rolling Stones, the Grateful Dead, and other wonderful reprobates
著者 Sam Cutler
ページ数 336ページ
分野 音楽・バイオグラフィー
出版社 Ecw Press
出版日 2010/2/23
ISBN 978-1550229325
本文 70年代の伝説的ロックスターを綴った書籍がたくさんある中で、著者は、自分自身が直接関わってきたミュージシャンの栄光と挫折を、素晴らしい洞察眼とユーモラスなタッチで綴っている。

ローリング・ストーンズ、グレイトフル・デッドといった伝説のバンドだけではなく、グルーピーやドラッグディーラー、マフィアのメンバーなど、ヒッピー全盛期に代浮ウれるさまざまな「堕落者」たちの姿が生き生きと描き出されている本書は、単なるバンドのバイオグラフィーではなく、その時代のすべてを映し出す歴史的スナップショットだ。

注目すべきは、1969年12月6日にカリフォルニア州オルタモントで行われたローリング・ストーンズをメインとするフリーコンサートの内情が書かれていることだ。殺傷事件が起きたことで有名なこのコンサート。その内幕とされる著者が沈黙を破り、その真実をついに明かした。

さらに、このコンサート後、アメリカに残り、音楽シーンを新たに牽引していく中で出会ったジャニス・ジョプリン、ピンク・フロイド、ジミ・ヘンドリックスなどの伝説的ロックミュージシャンとの親交を交えながら、彼が関わってきたすべてのロックンロールシーンを余すことなく伝えている。