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原題 The Mind of the Leader: How to Lead Yourself, Your People, and Your Organization for Extraordinary Results
著者 Rasmus Hougaard & Jacqueline Carter
分野 経営/心理学
出版社 Harvard Business Review Press
出版日 2018/3/13
ISBN 978-1633693425
本文 これまで一般的に、経営者が行う従業員の士気と生産性をあげるための取り組みといえば、ボーナスや給料のアップ、洗練されたオフィス環境の整備、無料の食事提供、フレックスタイム制の導入など、いわば「形から入って社員の満足度を高める」ものだった。

しかし、マイクロソフトやマッキンゼーなど、世界各地で事業展開し、リーダーシップ研修のために年間何十億ドルもつぎ込んでいる企業は、国や文化にかかわらず、外見から入る型通りのやり方はもはや通用しない、と気づき始めている。物質的に満たされて成熟した世の中にあって従業員が求めているのは、自分の仕事の意義や目的を理解したうえで働き、上司や同僚たちとの連帯を感じることであり、人間として根本的な心の欲求を満たすことだ。

では、心の深い欲求を満たすリーダーシップとは何か。著者とそのチームが15年以上にわたり世界中の何万人もの経営層にリーダーシップ研修を行い、その後の追跡調査やインタビューを通じて導き出した答えは、(1)マインドフルな思考(目の前のことに集中し、あるがままの状態を受け入れる)、(2)無私無欲な姿勢、(3)思いやりの心、の3つだ。そして本書ではまず、リーダーが自分自身を理解することから始める。これができてこそ、部下やチームメンバーを理解し、組織や会社全体を導くことができるからだ。

マインドフルネスを、企業の生産性をあげる具体的ツールとして本格的にフレームワーク化した、心を通わせるリーダーシップ手法の先駆的決定版。