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原題 Skeleton Keys: The Secret Life of Bone
著者 Brian Switek
分野 生物学、文化人類学
出版社 Riverhead Books
出版日 2019/3/5
ISBN 978-0399184901
本文 骨は私たちの身体の中にある、驚異的な建築資材だ。環境に合わせて変化し、回復力がある。骨は5億年にわたる進化の歴史の中で発達してきた。

骨は私たちを形作っている。骨のおかげで私たちは動くことができる。骨は成長し、私たち自身と共に変わっていく。骨には、私たちが何者で、どのように生きてきたかが、はっきりと刻まれている。人体解剖学において、これほど豊かな科学的知見をもたらし、文化的にも重要なものは、骨をおいて他にはないと言える。骨は、豊かな生命力を宿していると同時に、死の強烈なシンボルでもある。

本書では、私たちの骨格の起源や、骨が体の中でどんな働きをしているかについて語られる。また、唯一残されたものが、骨という、ミネラルとたんぱくの驚くべき集合体だけだとしても、そこから得られる知見について、著者は魅力的に解説している。

骨は、内側から体を支えているのと同じく、私たちの文化に組み込まれたものでもある。人類は、骨で楽器やアクセサリーを作ったり、収集家が収集品に対するような丁寧さで死者の骨を扱ったり、頭蓋骨のくぼみに人間の行動の原因を見出そうとしたり、骨をあの世への捧げものにしたりしてきた。本書の説得力に満ちた内容によって、私たちは、骨格が果たしている驚くべき役割ついて詳しく知ることができる。

古生物学、人類学、医学、法医学の分野の橋渡しとなる本書は、私たちの体の内側、時には外に存在する、骨という複雑な生命の構造について光を当てている。