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原題 THE ONLY ASTROLOGY BOOK YOU'LL EVER NEED
著者 Joanna Martine Woolfolk
分野 占星術
出版社 Taylor Trade Publishing
出版日 2012/11/13
ISBN 978-1589796539
本文 本著は1982年に初版され、占星術の分野では古典的な存在である。重版に重版を重ね、現在に至るまで世界中で70万部を売り上げている。ここ25年の間で、占星術の分野で一番売れている本である。

長く売れ続けるには理由がある。本著がその他の類似書と違うのは、その専門性の高さである。534頁に渡る本著では、単なる「星座」ではなく、「太陽星座」「月星座」「上昇宮」「惑星」「ハウス」を12星座ごとに細かく解説し、「何がどう影響」し今の性格が形成されているのか、そして各自が秘めている可能性等を、分かりやすく示してくれる。

説明に従ってバース・チャート(その人が生まれた時の星の配置図)を自分で作成すると、どの惑星と星座が自分に影響を与えているのかが分かり、他人との相性も図れるようになっている。星座ごとに、その星座生まれの有名人が50名ほど紹介されており、見ていて楽しめる。バース・チャート作成の項では、分かりやすいように、その星座の有名人のひとりを例に挙げて、作成のプロセスを説明する。

占星術は、自分自身の全体像と内面の深い部分の両方を見せてくれる、と著者は言う。「5000年もの歴史を持つ占星術が未だ存在している理由は、占星術が私たちの質問に答えをくれるからでしょう。私たち人間が知りたいのは、いつの時代においても、自分は何者なのか、ということなのです」

総じて占い好きの日本人には、とても興味をそそられる書籍であろう。専門性が高いとはいえ、星占いは日本人にはとても馴染み深いため、内容を理解するのは容易である。今まで私たちが知っていた星座だけではなく、生まれた瞬間に東の方角に出ていた星座(月星座)や、その時の全ての惑星の位置を知ることによって、占いがさらにカスタマイズされるのだ。このコンセプトは、占い好きの日本人に訴えかけるものがある。例えて言えば、20年ほど前に爆発的に流行した「動物占い」。元々は12動物だけの占いだったが、その後進化し、「本質」の動物のキャラだけではなく、「表面」「意思決定」「希望」「隠れ」の動物キャラクターが設定され、より深く性格や相性を占うことができるようになり、今もなお人気の占いのひとつである。そう考えると、本著が爆発的な人気を博すことになったとしてもおかしくない。

リスト化されている各星座の有名人(各星座につき50名程)はアメリカ文化に馴染みがなければ親近感が沸かないかもしれない人が多いため(例えば、みずがめ座で大きくクローズアップされているのは、アメリカの国民的人気司会者オプラ・ウィンフリー、歌手のジャスティン・ティンバーレイク、元大統領のルーズベルトなど)、日本人に馴染み深い有名人を少し付け足すことができるのであれば、日本の若い読者にはさらにアピールできるであろうと思う。