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原題 The Sunflowers are Mine: The Story of Van Gogh's Masterpiece
著者 Martin Bailey
分野 芸術/伝記/作品集/ファン・ゴッホ
出版社 Frances Lincoln
出版日 2013/9/5
ISBN 978-0711232983
本文 美術に全く興味がなくても、フィンセント・ファン・ゴッホが描いた『ひまわり』を知らない人はいないだろう。本書はファン・ゴッホが描いた数々の『ひまわり』を彼の生涯と共に振り返るものである。実際の作品や関係資料が100枚以上の鮮やかな画像として掲載されているため、ページをめくるだけでも楽しい書籍である。また、表紙の『ひまわり』も見事で、読後にどこに飾っておくか悩むような華やかな装丁に仕上がっている。

本書の前半では、ファン・ゴッホが描いた『ひまわり』を年代順に振り返り、それぞれの『ひまわり』に纏わる背景や技巧、ゴーギャンとの交流、そして突然の死が解説されている。ファン・ゴッホにとって、ひまわりは明るい南フランスの象徴であり、アルルでのゴーギャンとの共同生活に向けて、「黄色い家」を飾るため、花瓶に挿された向日葵の絵を複数枚描いたと言われている。しかし、ファン・ゴッホが『ひまわり』を描いたのは、アルルだけではない。著者は、『ひまわり』を切り口として、ファン・ゴッホの生涯を新しい視点から検証している。

本書の後半では、ファン・ゴッホの死後、それぞれの『ひまわり』が、誰により購入され、どのように所有・展示されているかを詳しく検証している。ファン・ゴッホが日本文化に傾倒していたこともあり、損害保険ジャパン日本興亜株式会社が『ひまわり』を購入し東京で展示していることや、山本顧彌太氏が購入し、芦屋に保管していた『ひまわり』が第2次世界大戦中にアメリカ軍の空爆により焼失したことなども詳しく解説されている。

最近では、人気アニメ『名探偵コナン』が、ファン・ゴッホの『ひまわり』をテーマにした映画を製作したため、美術に興味がなくても、ファン・ゴッホが複数の『ひまわり』を描いたことを理解している日本人ティーンエイジャーも多い。本書は多くの作品を美しいカラーで紹介しながら、誰でも知っている『ひまわり』を題材としているため、幅広い日本人読者が興味を抱くと考えられるうえ、絵画にあまり関心を寄せない若年層に対しても、大いにアピールできるだろう。

※2020年3月より国立西洋美術館で開催される「ロンドン・ナショナルギャラリー展」にて、ナショナルギャラリー蔵『ひまわり』の日本初展示が予定されている。