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原題 Shapeshifters: A History
著者 John B. Kachuba
分野 歴史学/伝承
出版社 Reaktion Books
出版日 2019/5/23
ISBN 978-1789140798
本文 満月にオオカミに変身する狼男、ジキル博士とハイド氏など、普通の人間が別の存在に変身する話は、世界各地に存在する。著者は、このようなシェイプシフターの言い伝えの歴史に焦点を当て、人間が人間以外の何かに変身したいという願望の歴史とその理由を、多くの資料画像と共に振り返っている。

シェイプシフターの歴史は古く、フランス・アリエージュの洞窟には、半分が人間で半分が動物の姿をした魔物が壁画に描かれているのが発見されている。著者は、狩猟時代においては、人間が動物を狩る一方で、人間が動物に狩られる可能性も高かったため、人間にはないスピードや強靭さを持ちたいという願望が、動物の姿をした人間に表れているのではないかと検証している。

本書の表紙には18世紀に描かれた狼男の絵画が使用されているが、狩猟時代が終わっても、人間が狼男やヴァンパイアなどの魔物に姿を変えたという言い伝えは続いている。人間心理のなかに、社会の慣習を守ることへの根本的な反発心があり、魔物に変身することで、人間社会の柵から逃れたいという願望を表しているのではないかと著者は検証している。

これまでにシャーマンや魔女、魔法使いが動物や魔物に姿を変えたり、呪いの儀式を行ったりするような小説、映画、TV番組が世界中で繰り返し製作されてきたが、人間が社会の束縛から逃れ、自由な存在になりたいという願望が続く限り、シェイプシフターを題材とした物語はこれからも製作され続けるだろう。シェイプシフターの言い伝えに興味のある読者にも、人間心理の本質に興味のある読者にも、是非とも読んでほしい一冊である。