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原題 A Feast for the Eyes: Edible Art from Apple to Zucchini
著者 Carolyn Tillie
分野 芸術/写真/生活スタイル/食品
出版社 Reaktion Books
出版日 2019/6/15
ISBN 978-1789140637
本文 本書は食品を使用した芸術品を色鮮やかな写真と共に紹介するものである。誰でも、子どものころにジャガイモを掘ってスタンプを作ったり、卵の殻を塗ったりした経験があるはずだ。人類が食品を使って芸術品を作る歴史は古く、約6万年前の石器時代に作られた、卵の殻を使った芸術品の断片が南アフリカで見つかっている。

食品を使った本格的な芸術としては、16世紀のイタリア人画家ジュゼッペ・アルチンボルドが野菜や果物、木の根を使って描いた肖像画を挙げることができるが、アンディ・ウォーホールのキャンベルのスープ缶ラベルなど、様々な時代で食品を素材とした芸術品を人類は残してきたのだ。

著者は「はじめに」の部分で、石器時代から21世紀に至るまでの食品と芸術の歴史、食品を使った芸術品の歴史を様々な写真を使って分かりやすく解説している。次に、「アップルのA」から「ズッキーニのZ」まで、食品のアルファベット順に美しい芸術作品の写真を解説文と共に紹介している。この分野の知識がない読者も、「はじめに」のセクションで食品と芸術品の歴史を理解しているため、一枚一枚の写真への理解を深めることができる。この点において、本書は単なる食品芸術品の写真集とは大きく異なっている。

著者の食品と芸術に関する知識の豊富さには脱帽するばかりであるが、日本食の美しさ、「わびさび」についても、1つのセクションを設けて解説している。アルファベット順に並べられた芸術品紹介のセクションでは、大根で掘った鯉、キャラ弁、田んぼアート、飴細工、うどん、和菓子が紹介されている。日本食に知識のない海外読者に日本文化を紹介してもらえることは嬉しい限りである。

本書は食品芸術品の歴史を理解できるうえ、美しい写真がふんだんに使われており、また、日本の食文化も紹介されていることから、年齢に関わらず、多くの日本人読者を間違いなく引き付けるはずだ。