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原題 Expeditions Unpacked
著者 Ed Stafford
分野 歴史/アウトドア
出版社 White Lion Publishing
出版日 2019/9/17
ISBN 978-1-78131-8782
本文 本書がユニークな点は冒険家のカバンの中身をとおして、歴史上の偉大な冒険家、そして冒険そのものを読み解こうとした点にある。読み手の心を奪う本書では25の偉大な探検旅行がキュレートされ、その内容がまとめ上げられている。

荷物を選択することにしくじれば、すなわち死を意味する環境下に冒険家は身を置く。地図にないテリトリーに向け持ち出された装備は成功を手繰り寄せるのか。それとも悲惨な失敗を招くのか。アムンセン(ノルウェーの探検家、1872年生まれ)とスコット(イギリスの探検家、1868年生まれ)のあいだの南極点到達競争を左右したのはカバンの中身なのか? エベレストへの携行する備品は、ヒラリー(ニュージーランドの登山家、1919年生まれ)が初登頂を遂げたときから変化したのだろうか?

本書では前例のない試みとして、貴重な写真と幅広いイラストをつうじて、歴史上に名を残した探検家が未開の地に持ち込んだアイテムを紹介する。そのボリューム、そのスタイル、そしていかにそれが入り組んでいるかが解説される。そして彼らの旅においてそれぞれのアイテムが持ったインパクトも見出せるだろう。

カバンの中身は、命を救う可能性を秘めていたのか? もしくはそれは純粋に安楽とエンターテイメントだけのためだったのか? そしてサバイバルのためのアイテムは科学が発展するにつれていかにその姿を変え時代に合わせ変化したのか?

恐怖、苦難。それを克服するにあたって探検家が持ち込んだ携行品は、彼らの野心的で危険なミッションにおいて非常に重要な役割を演じた。それぞれのアイテムを通じて、我々は自分自身についてより良き理解を得ることができるだろう。