ブックレビュー ブックレビュー

原題 Gadeget Consciousness: Collective Thought, Will and Action in the Age of Social Media
著者 Joss Hands
分野 思想哲学/政治/インターネット
出版社 Pluto Press
出版日 2019/2/7
ISBN 978-0745335339
本文 ガジェットとは何か? 私たちが形を与えた。しかし同時に私たちを形づくるもの。そのように著者ジョス・ハンズはガジェットを表現する。ガジェットは私たちのことを、個人の集まりとしてだけではなく、コミュニティー、そして種として形づくるのだ。

iPhoneの誕生から年月は流れ、その性能は飛躍的に向上した。そしてタブレット、スマートウォッチといった新たなデバイスも登場した。しかし、発想のコア部分はほとんど変わることはない。それはネットワークに接続された多機能なデジタルデバイスであるということだ。

現代においてガジェットが演じている中心的役割をかんがみると主体的な行為者、市民、労働者として私たちがガジェットを使い、何をするかは未来に大きなインパクトを持つ。

ガジェットは果たして人類を助けその生活を豊かにするものであり、いわゆる“ポスト・ヒューマン”の様相における、束縛や圧迫からの解放を促進する存在なのだろうか?

著者はガジェットの特質はもとより、人間の意思、決定の行為、意識、政治、権力といった事柄について考察を進める。

ガジェットが存在することの意味、さらにはガジェットがもたらす未来を考えるにあたって本書はよき道案内役となってくれるだろう。